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商店街が大型モールから学ぶべき点は・・・

 商店街の衰退は、郊外型の大型店のせいだと言う意見がある。確かにその部分は大きいのだが、私たちの同業者である大学の研究者やコンサルタントの一部の方たちは、「あんなところに行ったこともなければ、行きたいとも思わない」と言い切る人たちがいる。  

 いかに商店街を愛しているかという表現なのかも知れませんが、私は、そのような人たちと話ても良いアイデアは貰えないだろうなと内心、諦めている。

 前々からいろんなところで話題に出ていた岡山駅前に昨年末に開業したイオンモール岡山をやっと見てきた。

 旧林原の本社工場跡地に建設されたイオンモールは地下2階・地上8階、イオンスタイル岡山、タカシマヤフードメゾン岡山店、東急ハンズ岡山店、イオンシネマをキーテナントに、約350の専門店で構成されている。集客数は年間2000万人を見込むという大規模なもの。

 しかし、ここが注目されているのは、中心市街地のそれも駅前への出店であり、従来の郊外型とは異なり、駐車場収容台数も2,500台と同規模のショッピングセンターに比較すると小規模で、公共交通機関での来客を中心に据えているという点。  岡山駅からは、地下商店街で直結されており、地上を歩けば数分ほどの距離にある。

 一部の方たちの反発を恐れずに言うが、商店街振興などを議論するのであれば、一度、見に行くべきだと思う。

 イオンに対しては、様々な意見がある。私も必ずしも全てに賛成ではないが、彼らのノウハウの蓄積はさすがだと今回思ってみてきた。広々とした空間に、ゆったりと座れるソファやベンチ。休憩用というよりも、カフェスペースとしても利用できるほどのものだ。

 テナントも、多岐に及んでいて、地元の商店から若いアーティストの店、地元産品の専門店などいろいろである。これらの店が並んでいる部分には、まるで路地のような通路が設けられ、わざと湾曲した通りになっている。地元岡山の備前焼などが装飾に用いられている。

 人工的に作られた商店街なのだが、その配置やテナントミックスは、非常に巧妙になっている。単なる販売をするだけではなく、アトリエやギャラリー、工房、放送スタジオといった小さいながらも生産や創造の場も配置し、放送局などの事務所テナントも入れている。

 正直に言うと、既存の商店街が失ってきたもの、欠けているものを補充し、構成しなおしたものがこのモールではないか。冒頭で書いたような、単に大型店を批判するだけで、彼らが何を研究し、何を学んできたのかを知ろうとしなかったことが、現在の商店街の衰退に繋がった部分もあるのではないか。

 中心市街地に回帰し始めた大手流通業者が、商店街を再構築する時に何が必要だと考えているのかを学ぶことも重要なのではないだろうか。「敵」から学ぶことも大事だと思う。

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